リヴァックスコラム

第18回 廃プラ処理の円滑化通知を読む

長岡 文明氏

さて、BUNさん、今回はどんなお話しなんですか?

はい、今回は「廃プラ処理の円滑化」って通知を取り上げてみようと思います。

あれ?プラ資源循環法については、
このシリーズの最初、第1回第2回で既に取り上げていますよ。

いやいや、今回の「廃プラ処理の円滑化」って通知は
プラ資源循環法施行から遡ること3年、令和元年5月に発出されたものなんです。
まだコロナが蔓延する前、中国が廃プラスチック類の輸入を禁止するってことで、この業界では大騒動になったのを覚えていませんか。

あった、あった。思い出しました。
でも、どんな対策がなされたのかな。

まぁ、プラ資源循環法が施行されて既に1年が過ぎたので、
この辺で改めて廃プラスチック類について復習してみてもいいかなぁと。

また、この通知は直接廃プラスチック類に関わらないことでも知ってて無駄にならない情報も有るので、4年経って改めて読んでみようか、という企画です。

ネットで検索したら出ていました。読者の方は、添付しましたので参考に見て下さい。

正式名称は「廃プラスチック類等に係る処理の円滑化等について」という通知で
令和元年5月20日付けで発出されているものですね。

この「通知」は項目も多く、いろんな要素がありますから、
まずはざっと概要を抜粋して見ていきましょう。

令和元年5月20日
各都道府県一般廃棄物行政主管部(局)長 殿
各都道府県・各政令市産業廃棄物行政主管部(局)長 殿

環境省環境再生・資源循環局廃棄物適正処理推進課長
廃棄物規制課長
(公印省略)

廃プラスチック類等に係る処理の円滑化等について(通知)

ここって通知の日時、宛先、差出人でしょ。こんなとこまで紹介しなくとも。

いやいや、この部分はこの「通知」の割と重要な要素を示していると言える。

まず、この通知は既に4年前。結果として、おおごとにはならなかったけれど、見方を変えれば、この「通知」が功を奏したからこそとも言える。

次に宛先と差出人。どちらも一般廃棄物と産業廃棄物、両方の担当。と言うことは、この問題は一般廃棄物、産業廃棄物ともに関係する課題だとわかる。

なるほどね。次は?

産業廃棄物に該当する廃プラスチック類については、年間約700 万トン程度が排出されている(・・中略・・)使用済プラスチック等の輸入禁止措置以前は、年間約150 万トン程度のプラスチックくずが資源として輸出されていた(・・中略・・)国内の廃棄物処理施設が逼迫し、廃プラスチック類及び関連する廃棄物の処理に支障が生じている(・・中略・・)当面の対策について示す(・・中略・・)

この部分について、後ほど詳しく取り上げましょう。


第一 広域的な処理の円滑化のための手続等の合理化について(本文略)

ここでは、自治体の多くは県外産廃の搬入に事前協議制としているが、適正処理を阻害しかねないので、できれば廃止してねって書いてある。

これは廃プラスチック類に限ったことでは無いけど、自治体には自治体の事情も有って、一朝一夕には変えられないでしょうねぇ。

都市部で廃棄物を排出している企業に勤務している身としては、「通知」の言っていることに共感するけど、田舎のおじいちゃん、おばあちゃんのことを考えると野放図に地方に搬入されることに抵抗するのもわかるね。


第二 排出事業者責任の徹底(本文略)

これも廃プラスチック類に限ったことでは無く、廃棄物処理責任は原則的に排出者にある。
処理にかかる経費が上がることにより、処理費も値上がりするかも知れないが、そこは理解してくれってことかな。

「あなたが廃棄物を出さなければ、この問題も起きないんですよ」と言われてしまえば、そのとおりなんだけどね。


第三 不法投棄監視強化(本文略)

中国の輸入禁止措置、その影響で処理費の値上がりになると不法投棄が起きるリスクが高まるから注意して監視していてねってこと。


第四 輸出関係(本文略)

「物」が有価物なら「廃棄物輸出の手続き(環境大臣の確認)」は不要だけど、「物」が廃棄物となると「確認」が必要になるよってこと。

たしか、廃棄物を輸入するときは「大臣の許可」。輸出するときは「大臣の確認」が必要でしたね。「確認」というのも、まぁ、法律の素人から見れば「許可と類似の手続き」と思っていていいんでしたね。

勉強してるね。ここはこの通知の重要ポイントだから、後ほど改めて取り上げてみよう。


第五 使用済電気電子機器関係(本文略)

使用済電気電子機器については平成29年法律改正により、新たに規制の対象とした「物」です。これは「有価物であっても規制の対象」とした画期的な条項ですが、これも値崩れに伴って廃棄物に転落する可能性もあるから、注意していてね。特に火災の原因となるリチウムイオン電池の扱いには注意してねって内容です。

いわゆる「雑品スクラップ」と呼ばれている「物」ですね。
家電リサイクル法の対象にしている4品目をはじめとして政令で32品目規定しているんでしたね。

そのとおり、テレビ、冷蔵庫やゲーム機なんかが対象です。まぁ、制度がスタートした直後ってこともあり1項別立てで起こしたのかも知れないね。


第六 使用済プラスチックの廃棄物該当性(本文略)

ここがこの「通知」のキモとも言うべきところでしょう。
ここは後ほど詳細に取り上げていきましょう。


第七 補助事業の周知(本文略)

廃棄物である廃プラスチック類が増大し、受け皿の能力が不足する懸念がある。補助の対象を拡充したので、関係者は取り組んでみてねって内容です。

「補助金あげるよ」と言われても、多くの人がすぐに整備できるってことじゃないですよね。
こんな施策は意味があるのかなぁ。

即効性は無いかも知れないけど、後で詳しく話すけど、廃プラスチック類問題は短期間で解決できるようなものではないんですよ。だから、中長期的な視野を持った施策も必要だと思うよ。

まぁ、変な言い方になるけど、
廃棄物処理に携わる立場の人間としては、こういった機会を捉えて(奇貨として)廃棄物関連の補助制度を拡充しておくということは良いことだと思いますよ。


第八 産業廃棄物に該当する廃プラスチック類の一般廃棄物処理施設における処理(本文略)

正規の「産業廃棄物処理施設」だけでは能力不足になるかもしれないので、その時は市町村の一般廃棄物焼却施設も活用してね。活用しやすいように交付金制度も改正するからさって内容です。

でもさぁ。そもそも、市町村の一般廃棄物処理施設って「必要にして十分」な能力で整備しているんでしょ。税金を使ってやる事業だから、需要が100トンしかないところで、150トンの施設を作っちゃうと「税金の無駄遣い」って言われるし、逆に70トンの施設を整備したら、30トンは溢れちゃう訳だし。

そんな市町村の処理施設で産業廃棄物である廃プラスチック類なんて、いくら交付金制度を改正されても物理的に受け入れできないんじゃないの?

そうだね。でも、時間軸で考えると「余力」がある場合がある。

どういうこと?

たとえば、都市部の市町村で将来人口増加が見込めるから、現時点では100トンで間に合うけど20年後を見据えて150トンで整備をする。すると稼働直後は50トンの余裕が出る。

逆に過疎地帯では、当初100トン必要だったけど、10年後には人口減少、産業構造の変化により70トンで間に合っているとすると、この時点では30トンの余裕があるってことさ。

なるほどねぇ。時間軸で見ると市町村の一般廃棄物処理施設にも産業廃棄物を受け入れ可能になる「時期」があるってことかぁ。

もちろん、市町村の施策として「地場産業の育成」等を要因にして、最初から産業廃棄物の受入を予定して処理施設を整備してもいい訳だし。


第九 火災防止対策(本文略)

「第五 使用済電気電子機器関係」にも関係することだけど、スクラップヤードは火災が起きやすい。そして、一旦火が着くとなかなか鎮火せず火勢が強い。それで、廃プラスチック類は火災になりやすいから消防署とも連携して対応してねって内容です。
とまぁ、こんなとこかな。

すごい項目ですね。見出しを見ただけで満腹感だよ。

リヴさんも今日は限界のようなので、詳細については次回改めて見ていくことにしましょう。

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