リヴァックスコラム

第12回 規制改革通知について

長岡 文明氏

今回紹介するのは、皆さんがもっとも興味のある事項について記載している通知です。
えっ?「どうして興味があるってわかるんだ」って?それは、この通知は民間が「この制度はとってもやりづらいからなんとかしてくれ」と申し入れた事項に対応するために発出された通知だからです。どうでもいい事項なら申し入れしませんよね。
それが「規制改革通知」と呼ばれるもので、毎年のように似たような名称の通知が発出されています。
この中で、世間からの注目度が高いのは平成16年と平成17年の通知でしょう。
第3回にお送りした「手元マイナス」に関する通知も、この通知を改訂したものです。
事項も多いですので、今回はBUNさんの注目する事項、内容の抜粋になりますので、是非、一度原典も確認してみてください。
 

「規制改革・民間開放推進3か年計画」(平成16年3月19日閣議決定)において平成16年度中に講ずることとされた措置(廃棄物処理法の適用関係)について(通知)
平成一七年三月二五日 環廃産発第〇五〇三二五〇〇二号
 
第一 貨物駅等における産業廃棄物の積替え・保管に係る解釈の明確化
第二 汚泥の脱水施設に関する廃棄物処理法上の取扱いの明確化
第三 企業の分社化等に伴う雇用関係の変化に対応した廃棄物処理法上の取扱いの見直し
第四 「廃棄物」か否か判断する際の輸送費の取扱い等の明確化

「規制改革・民間開放推進3か年計画」(平成17年3月25日閣議決定)において平成17年度中に講ずることとされた措置(廃棄物処理法の適用関係)について
平成一八年三月三一日 環廃産発第〇六〇三三一〇〇一号
第一 産業廃棄物処理業の許可申請等に係る先行許可証の活用について
第二 産業廃棄物を使用した試験研究に係る規制について
第三 産業廃棄物処理業の許可申請手続きに係る書類の統一について

「規制・制度改革に係る追加方針」 (平成23 年7 月22 日閣議決定) において平成23年度中に講ずることとされた措置(廃棄物処理法の適用関係)について(通知)
平成24年3月30日環廃産発第120330002号

(主旨)産業廃棄物の処理の再委託については、原則禁止されている。ただし、再委託基準に従って再委託する場合は、上記趣旨に反するものではなく処理施設の故障により受託した産業廃棄物の処分が困難となった等の緊急的な事態が生じた場合等に限定されないことに留意されたい


平成17年3月25日付け通知の概要は次のようなことです。
<第一 貨物駅等における産業廃棄物の積替え・保管に係る解釈の明確化>
これは、鉄道や船舶でコンテナを使うときがある。産業廃棄物もコンテナに入れて運搬する時があるけど、こういう時は駅や港では一旦コンテナを下ろして、改めて別の車両や船に積み替える。バラで積み卸しをするのと違って、飛散流出がする訳ではないから、収集運搬業の「積替保管」の許可は不要にしましょう。という趣旨。

<第二 汚泥の脱水施設に関する廃棄物処理法上の取扱いの明確化>
設置に当たって許可が必要な産業廃棄物処理施設として法第15条を受けた政令第7条で規定している。この中に「汚泥の脱水施設」がある。しかしながら、汚泥脱水施設の多くは、「廃棄物を処理する」というより、排水を処理するプラントの一部として稼働しているものである。別の場所で発生した汚泥を処理するための施設なら「廃棄物処理施設」だろうけど、水処理施設と一体で運転管理されているような脱水機は、設置許可の対象にしなくてもいいんじゃないの。という趣旨。
ちなみに、この通知年度の16年度では全国で汚泥脱水施設は6,583件であったものが、5年後の平成20年度では、3,935件と激減しています。おそらく、設置状況は継続しているものが多いと思いますが、行政庁がこの通知に基づいて許可対象外として件数から除外したものと思われます。
個人的に言えば、現在、設置許可の対象施設として前述の汚泥脱水施設をはじめ18種の施設が規定されているのですが、油水分離施設、中和施設、などは許可の対象からはずしてもよいのではないかと思っています。(規模が大きければ、水質汚濁防止法の対象になってきますし、他者のものを受け入れれば14条業の許可で把握が可能ですから。)
一方、悪臭苦情の発生源となりがちな、堆肥化施設などは15条の対象になっていません。15条に関しては、時代の推移に併せて、もっと、積極的に法令改正をやってもいいのではないかと感じています。

<第三 企業の分社化等に伴う雇用関係の変化に対応した廃棄物処理法上の取扱いの見直し>
他者の廃棄物を処理する場合は処理業の許可が必要です。一般廃棄物は7条、産業廃棄物は14条の許可です。
親会社と子会社は、いくら資本の提供や役員が共通していても、別人格です。ですから、いくら親会社の廃棄物であっても、これを子会社が処理する場合は、処理業の許可が必要です。この逆のパターンも同じです。
ところが、昨今の雇用関係は極めて複雑で、同じ工場、同じ作業をしていても、別会社の従業員であるというケースもあり得ます。
そういった場合の業許可について示したものです。ですが、正直言いまして、通知に示されている5つの要件を全て満たすのは、他法令の関係もあり、相当困難だと思っています。処理業の許可を取りたくないがために無理してこの条件に合わせるよりは、BUNさんとしては、産業廃棄物処理業の許可を取得した方がはるかに手っ取り早いのでは?と思っています。

<第四 「廃棄物」か否か判断する際の輸送費の取扱い等の明確化>
これは、第3回に紹介した「手元マイナス」に関することで、平成25年3月に一部改訂されています。

つづいて、平成18年3月31日付け通知の概要は次のようなことです。
<第一 産業廃棄物処理業の許可申請等に係る先行許可証の活用について>
これは、申請者が既に別の許可(処理施設や変更許可等)を取得している場合は、先に受けている許可証のコピーで添付書類のいくつかを省略できる、という規定を、自治体で理解してあげてね、という内容。
たとえば、収集運搬業の許可申請を3ヶ月前にしたばかりで、中間処理業の許可申請を今回しますよ、というレベルなら、「なにも同じ書類を何枚も出すこと無いじゃないか」とはなります。
でも、添付書類の内容は結構変わっていたりするんです。それに、「どんな状況の、どの許可証なら、何を省略できて、何を省略できないか」って、わかっている人何人いるかなぁ。そんなことを法令集で調べているよりは、必要とされる書類を何枚か多くコピーすればよいだけ、謄本を何部か余計に取ってきていればいいだけのとこ。
こんなことで、「合理化」「規制緩和」と手間暇掛けているよりは、もっと優先的にやるべきことがあるようにも感じます。

<第二 産業廃棄物を使用した試験研究に係る規制について>
これは意味のある内容です。でも、このことは、規制改革会議からとやかく言われる前、はるか昔の昭和56年に発出された疑義応答集の問37に掲載されていました。過去の通知や正しい運用を理解しないままに、要望が出され、改めて通知したのかもしれないですね。
内容は、実験、実証であるなら、許可は要りませんよ。というものです。これは、処理業許可よりも処理施設設置許可に大きくかかわることです。
たとえば、焼却炉にしても破砕機にしても、製品として世の中に出す最後の段階では、実際の廃棄物を扱ってみて、不具合のチェックをせざるを得ません。もし、そこで不具合が発生して施設を改良しなければならない場合、「変更許可」を取らなければなりません。焼却炉なら、環境アセスまでやらなくてはならないケースまで出てきてしまいます。
そういうことを簡便にするために、実験、実証なら業許可、施設設置許可は不要ですよ、と示したものです。
なお、昭和56年より進歩した事項もあります。昭和の通知では、単に「実験、実証は許可不要」とだけ述べていたのですが、平成18年の通知では、実験実証を悪用されないように、期間を区切ること、行政へ届出、報告させること等を記載しています。

<第三 産業廃棄物処理業の許可申請手続きに係る書類の統一について>
これは、第1の先行許可証と似たような話です。あまり実がない話なので省略します。

平成24年3月の通知は、あまり知られていないかもしれません。
まぁ、行政としては、あまり積極的に知らせたくないって面もあるかもしれません。
内容は前述の抜粋でおわかりとは思います。
産業廃棄物の委託契約は、「再委託はだめだ」と教えられます。
たしかに、法律でも第14条第16項で次のように規定しています。

16  産業廃棄物収集運搬業者は、産業廃棄物の収集若しくは運搬又は処分を、産業廃棄物処分業者は、産業廃棄物の処分を、それぞれ他人に委託してはならない。

しかし、この条文には「ただし」書きがついています。

ただし、事業者から委託を受けた産業廃棄物の収集若しくは運搬又は処分を政令で定める基準に従つて委託する場合その他環境省令で定める場合は、この限りでない。

この通知以前の廃棄物処理法のテキストなどには、「再委託は車両や処理施設の故障など、やむをえない場合のみ許される行為である」旨の記載がよく見られました。
でも、法律の専門家、権利を主張したい方々からみれば、たしかに、そんなことは法令の条文のどこにも書いていません。
このことから、「ただし」書きの部分を、それまでの「消極的」に解するのではなく、むしろ「積極的」に解してもよいのだというふうにしました。
すなわち、「ただし書きの条件に合うなら再委託はしてもよいのだ」ということですね。

これを受けて、振興センターのテキストなども平成25年度のテキストから、書きぶりを変えています。
ただ、再委託の手続きをしたことのある方は、ご存じだと思いますが、再委託の手続きは極めて煩雑です。通常の排出者と第一受託者の契約、第一受託者と再受託者(第二受託者)の契約、排出者からの承諾書。排出者から承諾書のはんこをもらうなら、排出者と第二受託者との直接契約にはんこ押してもらっても同じ手間です。
よほどの事情がない限り、やはり、再委託は避けた方が無難だと感じています。

と、言うことで、何年かにわたる規制改革通知を眺めてみました。皆さんは、どのように感じましたか?「これは重大なことだ」と感じましたか?それとも、「些細な、枝葉末節、重箱の隅の話だ」と感じましたか?
BUNさんは正直言えば、ほとんどの事項は後者です。だってそうでしょ、重大なことだったら本来なら法律にするべき事なんです。立法しないで、条文はそのまま(と、言うことはたてまえとしては<国民の総意は得ていない>)で、運用でなんとかしようって事項ですから。
ん?この話どこかで聞いたことがあるなぁ。集団的防衛権は憲法違反ではないのか?憲法改正はたいへんだから、解釈、運用でなんとかしていく?
そうかぁ、やっばり、重要なことも「運用」「通知」でなんとでもなっちゃうってことでもあるのかなぁ。

 

BUN(長岡)<(_ _)>(^-^)/

 

 

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