リヴァックスコラム

第21回 知事再生指定通知について

長岡 文明氏

今年になって、東京都が「ペットボトルの一般指定」を行ったことで、制度について注目が集まりました。
ところで「知事の指定制度」って、皆さん、どの程度ご存じでしょうか?
実は、この制度は結構歴史が古く、スタートから既に30年以上が経過しています。
昭和53年の省令改正により制度化され、その時も「通知」は出ているのですが、これが平成6年に改訂、その後平成11年にも一部改正がなされています。
まずは、その通知を見てみましょう。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則第9条第2号及び第10条の3第2号に基づく再生利用業者の指定制度について

さて皆さんは、「廃棄物処理業の許可不要」という制度がどの程度あるかご存じですか?大きく分けて、廃棄物処理法の中で5つ、廃棄物処理法以外で「廃棄物処理法の許可が不要」というのが5つあると思っています。(分類の仕方で変わりますが)
廃棄物処理法の中の5つというのは、「自ら」「専ら」「省令規定」「国・県・市町村」「大臣認定」。大臣認定は、さらに「再生利用認定」「広域認定」「無害化認定」の3つがあります。
BUNさんは10年ほど前に、この廃棄物処理法許可不要制度を多少勉強したのですが、あまりに複雑で一旦は挫折しました。
4年前どうしても再度、許可不要制度を調べなくてはならなくなり、やっと、どうにか全体像を解明した・・・と自分では思っています。ちなみに、これを本にしましたので、興味のある方は是非ご一読(^-^)/。
(「天網恢恢 廃棄物処理法許可不要制度」(一社)産業環境管理協会刊購入ページへ)

今回の通知で取り上げているのは、大臣の再生認定制度ではなく、知事の再生指定制度、というものです。
通知にあるとおり省令の第9条第2号及び第10条の3第2号に基づく制度です。
 

省令第9条 (産業廃棄物収集運搬業の許可を要しない者)
 法第十四条第一項 ただし書の規定による環境省令で定める者は、次のとおりとする。
一  (略)
二  再生利用されることが確実であると都道府県知事が認めた産業廃棄物のみの収集又は運搬を業として行う者であつて都道府県知事の指定を受けたもの
三 (以下略)


第10条の3第2号は前述の条文の「収集又は運搬」を「処分」に置き換えた内容です。
この機会ですので、似たような「大臣認定」について概略説明しておきます。
なお、今回は産業廃棄物中心に記載していきます。
①大臣再生利用認定は法律第15条の4の2による規定。
環境大臣が、対象となる産業廃棄物と、事業を行う「者」を認定します。
この認定を受けると、各都道府県の個別の処理業の許可が不要になります。
たてまえとしては、範囲は広くなくてもよいのですが、アウトプットは必ず「再生」、すなわち、リサイクルになっていないとだめです。 実態としては、認定のほとんどは全国エリアで、対象は廃タイヤ、肉骨粉、認定を受けている者は、セメント会社です。
最大のメリットは、14条の処理業の許可だけでなく、15条の処理施設の設置許可も不要になる、という点です。(ここ重要なので頭の片隅に入れててね)
②大臣広域認定は法律第15条の4の3による規定。
環境大臣が対象となる産業廃棄物と、事業を行う「者」を認定します。
この認定を受けると、各都道府県の個別の処理業の許可が不要になります。
たてまえとしては、アウトプットは必ず「再生」、すなわち、リサイクルになっていなくてもよいのですが、範囲は広くなくてはだめです。
実態としては、できる限りリサイクルは求められるようですが、適正処理(焼却や埋立)でもよいようです。認定のほとんどは全国エリアで、対象は廃消火器、廃オートバイ等約200品目ほどに増えています。
この制度は、14条の処理業の許可は不要になりますが、15条の処理施設の設置許可は(該当になる施設の場合は)、正規に設置許可を取らなければなりません。

③大臣無害化認定は法律第15条の4の4による規定。
対象となるのは、現時点ではPCBとアスベストだけです。事業を行う「者」を認定します。この認定を受けると、各都道府県の個別の処理業の許可が不要になります。
14条の処理業の許可だけでなく、15条の処理施設の設置許可も不要になります。

一方、今回取り上げているのは、「知事指定制度」です。
④知事再生指定は、収集運搬については法律第14条第1項ただし書きを受けた省令第9条第2号、処分については法律第14条第6項ただし書きを受けた省令第10条の3第2号です。(前述の通り)
知事が対象となる産業廃棄物と、事業を行う「者」を認定します。
この認定を受けると、指定したその都道府県の処理業の許可は不要になります。
(兵庫県知事が指定すれば、兵庫県内だけは兵庫県の許可は不要、ということ。)
たてまえとしては、アウトプットは必ず「再生」、すなわち、リサイクルになっていないとだめです。
前述の「通知」でも記述していますが、この制度は「一般指定」と「個別指定」があります。ちなみに、法令上は「一般指定」と「個別指定」の区別はありませんし、詳細なことは何一つ規定していないのですが、昭和53年の制度スタート時点から、国は「通知」により「準則」まで示して、「このようにやる」ことを、お勧めしてきています。
ちなみに、「準則」とは、「条例を作るなら、例を示してあげるから、このように作りなさいね。」というもので、地方分権が謳われるまでは、たいていの自治体は「準則通り」にやっていました。去年のコラムで書きましたが、『法令ではないのに、「通知」どおりに世の中は動いていく』という、まぁ「通知行政」の最たるものと言ってもいいでしょうね。
さて、この通知で規定しています「個別指定」は、許可と同じように、その行為を行う人物を指定します。したがって、指定を受けた人物以外は、やることはできません。

「一般指定」は、対象となる「産業廃棄物」だけを指定し、その行為を行う人物は指定しません。つまり、この指定を行った県の中では、指定された処理(再生)方法を採用していれば、「誰でもやっていい」ということになります。
なお前述の通り、法令では細かいことは規定していないので、この要因も含め、「指定」に関しては、そのようにやっていない事例も見られます。要は全て、指定を行う知事の裁量の範囲、とも言えます。そのため、一般指定なのですが、行う人物を「指定」しているケースもあるようです。

これが昨今話題になった東京都のペットボトル指定な訳です。
ですから、今後東京都内においては、「産業廃棄物であるペットボトル」に関して、東京都が示しているリサイクル処理をするのであれば、「誰でも」取り扱うことが出来る、ということになります。
この知事指定制度は、14条許可は不要になりますが、15条処理施設設置許可は不要にはなりません。該当になる施設の場合は、正規に設置許可を取らなければなりません。
この「個別指定制度」には、ひとつやっかいなことがあります。
先ほどの「通知」の「第四 個別指定の基準、1再生輸送業者」に次の通り記載していますよね。「① 対象産業廃棄物の排出事業者のみからその運搬の委託を受けることとされていること。」と記載されていますね。
これは、確実に「再生」になっていなければ、「指定」の枠から外れてしまうことから、通常、「排出者」「運搬者」「処分業者(受け手)」まで一括して指定します。そして、この要因が変わるようだと「指定の取り直し」になってしまいう、ということなのです。
つまり、お客様(排出者)が変わるごとに指定を取り直さなくてはならない、ということになってしまいます。

一方、産業廃棄物処理業の許可を取得するのは、そう難しいことではありません。知事個別指定制度は、リサイクル時代によさそうな制度なのですが、お客様(排出者)が変わるごとに指定を取り直さなくてはならないのは、極めて面倒です。

では、「一般指定制度」はどうかと言うと、前述の「東京都のペットボトル」の例で感じられたかと思うのですが、「誰でもやっていい」となると、一旦「指定」してしまうと、行政の歯止めが利かなくなるおそれが出てくる訳です。
そのため、こちらも昭和50年代から始まった制度であるにもかかわらず、この「知事の一般指定」をしているのは数えるほどしか有りません。
(データは多少古くなるのですが、全産連で平成21年度に行った調査結果が公表されています。
再生利用指定制度の運用状況等に係る 調査結果報告書
この調査報告書11頁によれば、調査の時点で「一般指定」を行っているのは、北海道、東京都、鹿児島県の3都県だけです。

それに、大臣の認定が全国で許可が不要になるのとは異なり、知事の指定の権限が及ぶ範囲は、あくまでもその県内(都道府県内)です。
ですから、いくら兵庫県の知事指定を受けていても、隣の岡山県内では役に立ちません。そんなことなら、初めっから、通常の産業廃棄物処理業の許可を受けていた方が、便利じゃないか、となってしまう訳ですよね。

東京都のペットボトルの知事指定にしても、廃棄ペットボトルを収集運搬する人が、産業廃棄物の廃プラスチック類の収集運搬業の許可を取れば、それで済む話ではなかったのか、という意見も出るでしょう。

今後、この東京都の取り組みが全国にも波及するのか、一般廃棄物の分野にも波及していくのかなどを観察するにしても、今回のこの「通知」を知らないとなかなか理解できない流れですね。

BUN(長岡)<(_ _)>(^-^)/

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