リヴァックスコラム

第51回 重要通知「許可事務通知」で復習 その10

長岡 文明氏

みなさん、こんにちは。
当メルマガは、読者の皆さんからの質問やトピックな話題があれば随時取り上げていますが、シリーズとして廃棄物処理法の基礎知識の復習を兼ねて、令和2年3月に発出された「許可事務通知」について見てきています。

今回はどういう話ですか?

前回まで「第1 産業廃棄物処理業及び特別管理産業廃棄物処理業の許可について」の「5 欠格要件」をみましたね。

今回は次の「6 許可の条件」を見ていこうか。

許可の条件なんて、許可を出す自治体行政が自由に付けていいものだと思っていたけど、そうでもないようですね。

「許可」自体が、国民の権利である「職業の自由」という基本的な人権を制限する制度だから「法律」という国民が承諾しているルールの下でしか制定できない。
そういう「許可」制度をさらに厳しくするのが「許可条件」だから、なんでもかんでも「許可条件」に出来るってことじゃないんだ。

廃棄物処理業の許可は「生活環境保全上必要」って枠がはめられているんですね。

そうだねぇ。そもそも法律の第14条第11項を確認してみると
「第一項又は第六項の許可には、生活環境の保全上必要な条件を付することができる。」と規定しているからね。

具体的には?

道路騒音の関係から搬入時間帯を制限する「処理施設への搬入は10時から17時までとする」なんていうのは「あり」かな。
あと、ちょっと専門的になるけど悪臭の臭気指数などを条件にしているものもあるかな。処理施設によっては、水質汚濁防止法や悪臭防止法、振動規制法の排出基準が直接には適用にならないものもある。そこで、許可条件として排出基準と同レベルのことを許可条件としているようなケースだね。

なるほど。
「生活環境保全上の支障」って、
飛散、流出、地下浸透、悪臭、鼠や害虫の害などが代表的なものですからね。
そういった要因については許可の条件にできるってことか。

じゃ、逆に許可条件に出来ないものってどんなことですか?

「道路交通法を守ること」なんていうのは条件にしちゃダメだろうね。

どうして?さっきの話では、搬入時間帯の制限なんかはOKって言ってたよね。
同じようなことなんじゃないんですか?

「道路交通法」って、廃棄物処理法とは違う別個の法律でしょ。
分かり易く言えば、もし、制限速度40キロの道路を50キロで走行していたら、「廃棄物処理法許可条件違反」で有罪になるかってことだよね。

なるほど。それはそちらの法律でやってねってことですね。
他法令で明確に制限されているような内容は条件には出来ないってことになってくるか。あとは?

あまりにも裁量権が大きくなるような、曖昧なことも条件にはできないね。
「係員の指示に従うこと」とか。

それはそうね。公平性に欠けるね。

あと、ちょっと難しくなるんだけど、
この通知の「11 許可証の交付」で次のことも述べているんだ。

(3) 許可証の「許可の条件」の欄は法第14条第11項及び第14条の4第11項の「生活環境の保全上必要な条件」を記載するものであり、許可証の「事業の範囲」に記載すべき内容を「許可の条件」として記載してはならないこと。

「事業の範囲」って何回か前に取り上げたけど、
「産業廃棄物の種類」と「処理の方法」でしたね。

これを「許可条件」にしてはダメってどういうことですか?

具体的には、「事業の範囲」の「産業廃棄物の種類」に「汚泥」としておきながら、
許可条件として「有機性汚泥は取り扱ってはいけない」などとしてしまうことだね。
こういう時は「事業の範囲」の「産業廃棄物の種類」に「汚泥(有機性汚泥を除く)」として、条件にはしないってことだね。

どうして「事業の範囲」を「許可条件」にしちゃだめなの?

分かり易い理由としては、違反したときの条文が違う。罰則が違う。行政処分の理由が違ってくるってことかな。
「事業の範囲」を逸脱すれば、これは「無許可変更」となり、罰則第25条で最高刑懲役5年。でも、許可条件違反は直接の罰則は無いんだ。

えー。じゃあ、許可条件なんて守らなくてもいいってことにならない?

そうじゃないんだね。
許可条件って許可を持っている人にしか適用されないよね。

そりゃそうよ。許可条件だもの。

そこで出てくるのがこの条文なんだ。

(事業の停止)
第十四条の三 都道府県知事は、産業廃棄物収集運搬業者又は産業廃棄物処分業者が次の各号のいずれかに該当するときは、期間を定めてその事業の全部又は一部の停止を命ずることができる。
三 第十四条第十一項(前条第二項において準用する場合を含む。)の規定により当該許可に付した条件に違反したとき。
(許可の取消し)
第十四条の三の二 
2 都道府県知事は、産業廃棄物収集運搬業者又は産業廃棄物処分業者が前条第二号又は第三号のいずれかに該当するときは、その許可を取り消すことができる。

なるほど。
許可条件に違反したときは「事業停止」処分の対象になるし、
「取消」処分の対象にもなるってことですね。
これは許可業者にとっては大きな痛手よね。

今や処理業者の許可証は、許可業者だけのものじゃない。

産廃の委託契約書には、写しを添付しておかなくちゃならないしね。

だから、許可権限者(行政)側もやたらな許可証は交付できない。

許可業者だけではなく、排出事業者や住民からも「この許可証おかしいんじゃないか」「あの業者は許可条件に違反しているのに、どうして処分しないんだ」などとクレームが来るからね。

「許可条件」って行政の伝家の宝刀ではなくて、両刃の剣なんですね。
取引のある産業廃棄物処理業者、一般廃棄物処理業者さんの許可証、改めて見直してみます。
じゃ、今回のまとめをしてくださいな。

廃棄物処理業許可の許可条件は「生活環境保全上必要」な要件に限定されている。
「事業の範囲」を許可条件にしてはならない。
他法令の規定はその法令で規制するべきであり、廃棄物処理業許可の条件としては馴染まない。
「許可条件」違反は、罰則規定は無いが行政処分の対象になる。ってとこかな。