リヴァックスコラム

第50回 「再資源高度化法本格施行」について聞いてみよう その4

長岡 文明氏

第47回から続けて、令和7年11月21日から全面施行された再資源高度化法、特に政省令に注目して取り上げています。
なお、法律そのものは令和6年5月に公布されていましたので、当リヴァックスコラムの第25回~31回で取り上げています。そちらも読んでいただけると嬉しいです。

前回は、「高度再資源化事業計画の認定」制度まで見たんですよね。
あくまでも「BUNさん見解」だけど、「アウトプットになる「再資源」の需要」に重点を置く制度で、「技術的には「普及している」レベルでよい」というのは、ちょっと驚きでした。

今回は残りの認定制度についてですね。

はい、再資源高度化法の認定制度については、
1.高度再資源化事業計画の認定(略称、「資源化認定」)
2.高度分離・回収事業計画の認定(略称、「分離回収認定」)
3.再資源化工程高度化計画の認定(略称、「工程高度化認定」)
の3つがあります。

今回は2.の「分離回収認定」から見ていきましょう。例によって、まず条文を紹介しますから、一旦飛んでいただき<着地点>から読んでいただいてもいいですよ。

法律
(高度分離・回収事業計画の認定)
第十六条 廃棄物(その再資源化の生産性の向上により資源循環が促進されるものとして環境省令で定めるものに限る。)から高度な技術を用いた有用なものの分離及び再生部品又は再生資源の回収を行う再資源化のための廃棄物の処分の事業(以下「高度分離・回収事業」という。)を行おうとする者は、環境省令で定めるところにより、高度分離・回収事業の実施に関する計画(以下「高度分離・回収事業計画」という。)を作成し、環境大臣の認定を申請することができる。

本則省令
(高度分離・回収事業の対象となる廃棄物)
第三十二条 法第十六条第一項の環境省令で定める廃棄物は、新たな技術、経済社会情勢の変化、社会の要請等を勘案し、特に高度な技術を用いた有用なものの分離及び再生部品又は再生資源の回収を行う再資源化の実施が見込まれるものとして環境大臣が定めるものとする。

環境省告示第八十二号
(前略)
一 廃太陽電池(太陽電池又はその附属品が廃棄物となったものをいう)
二 廃リチウム蓄電池等(リチウム蓄電池若しくはリチウム蓄電池を使用している製品が廃棄物となったもの又はこれらを処分するために処理したものをいう)
三 廃ニケル水素蓄電池等(ニケル水素蓄電池若しくはニケル水素蓄電池を使用している製品が廃棄物となったもの又はこれらを処分するために処理したものをいう)

<着地点>

資源化認定は「普及している技術」でもよかったようだけど、
こちらの「分離回収認定」は「高度な技術」を用いた事業でないと認定の対象にならないんですね?
省令では「新たな技術、経済社会情勢の変化、社会の要請等を勘案し、特に高度な技術を用いた」とまで規定しています。

そうだね。施行通知の中にも次の記載がある。
「・・・このような技術の高度化については現状、一部の先進的な取組を除いて進んでおらず、このような事例が少ない中で、適正処理を満たしつつ資源循環に資する技術の高度化を判断することは容易ではないことから、一律の基準を策定して地方公共団体に委ねることが困難である。」
都道府県で審査するのは大変だろうから、国がやる、としてるんだ。
つまり、それほどの「高度な技術」「高度な審査」が求められる事業ということになるね。

でも、それも何でもかんでも認めるってことではないようですね。
よく判らないけれど、当面「太陽電池」「リチウム蓄電池」「ニケル水素蓄電池」の3品目限定なんですね?

そのようだね。
法律が制定された令和6年の時点で環境省が出した「再資源高度化法の概要」というリーフレットには「紙おむつ」も記載されていたけど、政省令が正式に公布されて、大臣告示には「紙おむつ」は入っていないねぇ。

何があったのかしら?

部外者からはうかがい知れぬ「大人の事情」があったのかもしれないね。
ただ、この大臣告示には附則があって「・・・社会の要請等を勘案して必要に応じ見直しを行う・・・」とあるから、数年後には追加していくと思うよ。

ところで、「分離回収認定」を取得するための「高度な技術」って、
具体的にはどのように規定されたんですか?

それがね、省令第三十七条なんだけど・・・。
今回もまずは条文を紹介するので、
一旦<着地点>までジャンプしてもらってもいいですよ。

(高度分離・回収事業の内容の基準)
第三十七条 法第十六条第三項第二号の環境省令で定める基準は、次のとおりとする。
一 法第十六条第二項第四号に規定する指標が適切に算出されたものであり、かつ、当該指標が当該申請に係る高度な技術を用いることによってのみ達するものと認められること。
二 高度分離・回収事業の実施の状況を把握するために必要な措置を講じていること。
三 高度分離・回収事業の実施に当たっては、生活環境の保全上支障が生じないように必要な措置を講じていること。
四 地域の環境の保全のための取組及び地域の社会経済の持続的発展に資する取組を併せて行うものと認められること。
五 その他第三十二条の規定により環境大臣が定める廃棄物ごとに環境大臣が定める基準に適合していること。

<着地点>

なにこれ?「安全、安心に」みたいな表現ですね。
「高度な技術を用いることによってのみ達するものと認められる」
と言われても、具体的にはさっぱりわかりません。

そうなんだ。
通常の許可の審査のように一律にはいかない。
だからこそ、都道府県の審査に任せておけないから、国で個別に審査していくってことなんでしょうねぇ。

これは大変ですね・・・申請する側も、審査する側も。

まぁ、最初の第1号から第5号位まで認定が出てくれば、どの程度のレベルか推測出来るようになるかと思うけど、それまでは手探り状態にならざるを得ないかも知れないね。
ただ、当然ながら、「生活環境保全上の支障は発生しないように」という基準は規定しているよ。その他の事務手続き的な事項は、「資源化認定」や通常の「処理業許可」と大差ないように感じました。

じゃ、「分離回収認定」について、とりあえずまとめてくださいな。

1.対象になるのは当面「太陽電池」「リチウム蓄電池」「ニケル水素蓄電池」の3品目限定。
2.「高度な技術を用いることによってのみ達するものと認められる」事業とのことであるが、具体的にどのような手法やレベルが要求されるかは、現時点では不明。(BUNさんは読み解けない)
3.認定を取れば一廃、産廃ともに処分業の許可は不要。収集運搬業については、不要制度は規定されていない。

どうして収集運搬については許可不要制度を規定しなかったのかしら。

推測だけど、収集運搬は言葉は悪いけど運搬するだけだから、「高度な技術」は要らないよね。「分離回収認定」については理屈が立たなくなるからじゃないかなぁ。
まぁ、それに必要なら「資源化認定」も取ればいいことだしね。

じゃ、いよいよ3つ目の認定制度ですね。

3.再資源化工程高度化計画の認定(略称、「工程高度化認定」)ですね。

(再資源化工程高度化計画の認定)
第二十条 廃棄物処理施設の設置者であって、当該廃棄物処理施設において、再資源化の実施の工程を効率化するための設備その他の当該工程から排出される温室効果ガスの量の削減に資する設備の導入(以下「再資源化工程の高度化」という。)を行おうとするものは、環境省令で定めるところにより、再資源化工程の高度化に関する計画(以下「再資源化工程高度化計画」という。)を作成し、環境大臣の認定を申請することができる。

この認定制度は「廃棄物処理施設の設置者であって」だから、
既に処理施設の設置許可を取得している人(会社)が対象なんですね。

そのとおり。それは、次の省令条文でも明白。

(再資源化工程高度化計画に添付すべき書類)
第五十二条 法第二十条第一項の規定により再資源化工程高度化計画の認定を申請しようとする者は、申請書に次に掲げる書類及び図面を添付しなければならない。
(1号~14号略)
十五 再資源化工程高度化計画に記載された廃棄物処理施設に係る廃棄物処理法第八条第一項、第九条第一項、第十五条第一項又は第十五条の二の六第一項の規定による許可を受けていることを証する書類

第八条第一項は一般廃棄物処理施設の設置許可、
第十五条第一項は産廃、
第九条第一項は一廃処理施設変更許可、
第十五条の二の六第一項は産廃処理施設変更許可でしたね。

つまり、少なくとも一旦は新規で正攻法で設置している人だけが対象になる制度。
この「再資源化工程の高度化」認定を取るとどんなメリットがあるんですか?

一応、これだね。

(廃棄物処理法の特例)
第二十一条 前条第一項の認定を受けた者(第四十三条第一項第一号ハにおいて「認定再資源化工程高度化計画実施者」という。)は、当該認定を受けた再資源化工程高度化計画(同号ハにおいて「認定再資源化工程高度化計画」という。)に従って行う設備の導入については、廃棄物処理法第九条第一項又は第十五条の二の六第一項の許可を受けたものとみなす。

なるほど。廃棄物処理法の変更許可が不要になるのね。
と言うことは、正規の廃棄物処理法の変更許可よりは、
手軽に変更工事が出来るってことですか?

ん~、条文を見た限りではそれは言えない感じなんだなぁ。

具体的な手続きについては、
先に紹介した省令第五十二条では「添付すべき書類」として第十七号まであるし、第五十三条「計画の記載事項」、第五十四条「工程の高度化の内容の基準」、第五十五条「廃棄物処理施設の技術上の基準」、第五十六条「申請者の能力の基準」は相当詳細に規定されているし、BUNさんが見る限りでは、廃棄物処理法の変更許可申請と「大差ない」。
むしろ、「地球温暖化対策」等についてはプラスαが求められる。

そんなんじゃ、認定取得する意味がないじゃん。

BUNさんは読み切れないけど、次の条文はあります。

(財政上の措置等)
第四十一条 国は、資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する施策を実施するために必要な財政上の措置その他の措置を講ずるよう努めなければならない
(産業廃棄物の処理に係る特定施設の整備の促進に関する法律の特例)
第四十三条 (前略)産業廃棄物処理事業振興財団(略)は、次に掲げる業務を行うことができる。
一 次に掲げる資金の借入れに係る債務を保証すること。
イ 認定高度再資源化事業者が行う認定高度再資源化事業計画に記載された第十一条第二項第九号に規定する廃棄物処理施設の設置に必要な資金
ロ 認定高度分離・回収事業者が行う認定高度分離・回収事業計画に記載された第十六条第二項第七号に規定する廃棄物処理施設の設置に必要な資金
ハ 認定再資源化工程高度化計画実施者が認定再資源化工程高度化計画に従って行う設備の導入に必要な資金

う~ん、債務保証等の資金面の援助があるかもしれないってことかなぁ。

条文には出てこないメリットがあるのかもしれないね。
税制措置とか社会の評価とかネームバリューとかの。

じゃ、これについても、
ファーストペンギンさんが現れてみないとなかなか掴みきれない部分がありますね。
再資源高度化法で他に規定している事項はありますか?

認定の審査は環境省が直接やる部分と、いわゆる「外注」する部分があることを最初から想定していて、その「調査」「審査」をやる機関を「登録機関」とすることを規定しているけど、おそらく読者の皆さんには直接的に関係しないので省略します。

あとは、罰則かな。

厳しいの?

全然。再資源高度化法は「促進法」の意味合いが大きいためか、罰則は前述の登録機関に関するものを除けば、最高でも罰金50万円。これは、「その2」で取り上げた「特定産廃処分業者」の「命令違反」の時。

まぁ特定処分業者って、そもそもそれなりの大手だし、命令の前段として「勧告」という制度があり、それを無視してやる状態なので、現実的には「まずは無い」と言ってもいいでしょうねぇ。

じゃ、今回の「その4」のまとめと、全体のまとめをしてくださいな。

「その4」まとめ

  1. 「分離回収認定」については、「高度な技術」「高度な審査」が求められる事業。
  2. 当面「太陽電池」「リチウム蓄電池」「ニケル水素蓄電池」の3品目限定。
  3. 「工程高度化認定」については、設置許可を受けている処理施設で変更を行うときに申請可能。
  4. 廃棄物処理法の変更許可は不要になるが、手続きやハード面で「緩和」になるかは、読み解けない。

「再資源高度化法本格施行」についてのまとめ

  1. 「廃棄物中間処理」を行う人(会社)が、「廃棄物処分業者」となる。
  2. 「廃棄物処分業者」は再資源化の「目標」を設定する。
  3. 産業廃棄物の年間処理実績10,000トン(廃プラスチック類については1,500トン)以上の人(会社)を「特定産業廃棄物処分業者」とする。
  4. 特定産業廃棄物処分業者は目標設定や再資源化は「義務」となり、勧告、命令、罰則の対象になる。
  5. 廃棄物処理法の許可が不要となる「認定制度」が3つある。
    「資源化認定」、「分離回収認定」、「工程高度化認定」(略称)である。
  6. 「資源化認定」は技術的には廃棄物処理法許可レベルでもよいが、アウトプットの「再資源化製品」の需要が必須の要因となる。一廃・産廃ともに収集運搬・処分業許可不要となる。
  7. 「分離回収認定」は「高度な技術」が求められる事業。対象は大臣告示で示された3品目。
    (具体的な施設要件、審査基準等は読み解けないので、ファーストペンギン待ち)
  8. 「工程高度化認定」は処理施設変更許可が不要になるが、正規の変更許可申請同等以上の事項が要求されそう。
    (具体的なメリットは読み解けないので、ファーストペンギン待ち)

こんなところかなぁ。

結局、政省令も出そろって本格施行になったけど、
「まだ、よくわからない」ってことが多くて、
読んでいただいた読者の皆さんには申し訳ない感じですね。

新しい制度だし、廃棄物処理業界にとっては大改革だから、どうしたって「手探り」状態なんだと思いますよ。

まぁ、罰則も無いに等しいようなもんだから、
「とりあえず、試しにやってみましょうか」ってところなのかもしれませんね。

再資源高度化法については、
また新たな情報が入ったら適宜取り上げていきたいと思います。