リヴァックスコラム

第52回 改正廃棄物処理法で何が変わるのか その1

長岡 文明氏

「改正廃棄物処理法って何から押さえる?」

令和8年4月10日(金)に閣議決定され、
現在国会では「廃棄物処理法改正案」が審議されているようです。
条文によっては、施行までまだ時間があるようですが、現在連載中の「許可事務通知」は一時中断し、これから数回にわたり今回の改正について聞いていきたいと思います。
BUN先生、今日もよろしくお願いします。

こちらこそよろしく。

ニュースで「改正廃棄物処理法」とか「廃掃法の見直し」ってよく見るんですけど、正直言うと、何から勉強すればいいのか分からなくて…。

最初はみんなそうだよ。
廃棄物処理法は、正式には「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」と言って、日本のごみ処理の基本になる法律なんだ。
昭和45年に今の形になってから、社会の変化に合わせて何度も改正されてきている。

そんな昔から続いているんですね。
でも、ニュースになるのは「また改正」「罰則強化」みたいな話ばかりで、つい怖くなります…。

怖がる必要はないけれど、「知らないまま」は確かに危ないね。
まずは「改正で何が変わるのか」というよりも、「改正が続いている背景」と「現場で特に押さえるポイント」を、初心者向けに一から整理してみようか。

お願いします!

1. なぜこんなに改正が多いのか

最初に一番気になっているのが、どうして廃棄物処理法はそんなに頻繁に改正されるのか、という点です。一度ルールを決めたら、そんなに変えなくてもよさそうなのに。

いい質問だね。理由は大きく三つあると考えると分かりやすいよ。

三つ、お願いします。

一つ目は「社会や産業の変化」。
例えば、昔は今ほどプラスチック製品も電子機器も多くなかったし、ネット通販の段ボール山積みなんて光景もなかったよね。ごみの「量」も「種類」も変われば、それに合わせて処理のルールも変えないと追いつかない。

二つ目は「環境問題への関心の高まり」かな。
不法投棄、地球温暖化、大規模災害時のがれき処理など、社会全体で「環境リスクを減らそう」という意識が強くなってきている。それに合わせて、事業者の責任や罰則も強化されてきた。

三つ目は「資源循環へのシフト」。
単に捨てるだけでなく、できるだけ再利用やリサイクルを進めて資源を循環させようという方向に、日本全体の政策が動いている。その中で、廃棄物処理法の特例を設けるプラ資源法、再資源高度化法と言った新しい法律や資源有効利用促進法の大改正も出てきているんだ。

なるほど。ごみの中身が変わって、環境への目も厳しくなって、しかも捨てるんじゃなくて「資源」として扱おうとしているから、ルールを何度も見直しているわけですね。

その通り。
だから「改正が多い=ただ厳しくしたい」というより、
「現実に合わせてアップデートしている」と考えた方が理解しやすいよ。

2. 改正の核心は「排出事業者責任」

背景はよく分かってきました。
では、改正が進む中で、一貫して強くなっている考え方ってあるんでしょうか?

キーワードはなんと言っても「排出事業者責任」だね。
これは、廃棄物を出した事業者が、最終的な処分まで含めて責任を負うという考え方だ。

「収集運搬業者さんや処分業者さんに渡したら、そこから先はお任せ」ではだめ、ということですか?

そう。昔は「委託してしまえば安心」と考える会社も多かったけれど、今は

・どこに運ばれて
・どんな中間処理をされて
・最終的にどう処分・リサイクルされるのか

を排出事業者自身が把握し、適正な処理が行われるよう管理することが求められている。

だからマニフェストも大事なんですね。

その通り。今回の法律改正では、マニフェスト制度は直接的な改正はなかったけど、令和7年の省令改正では電子マニフェストに再資源化に関する事項を追加している。

マニフェストは「排出から最終処分までを追跡するための台帳」のような役割を持っているから、改正や運用見直しの中で、このマニフェスト管理と委託契約の重要性がどんどん高まっているんだ。

3. 初心者がまず押さえる三つのポイント

改正の背景と排出事業者責任の話を聞いていると、
やることが相当多そうだなと少し不安になります…。
初心者として最初に押さえるべきところを、三つくらいに絞るとしたら何でしょうか?

そうだね。改正や最近の動きを踏まえると、初心者向けの「三種の神器」は次の三つかな。

①マニフェストと委託契約の中身をきちんと見ること
②ヤードや一時保管場所を「なんとなく」から卒業すること
③リサイクルや輸出の動きを「環境リスク」とセットで見ること


といったところかな。じゃ、順番に説明していこう。

① マニフェストと委託契約を「実態」と合わせる

まずは一つ目、マニフェストと委託契約ですね。

うん。多くの会社で最初に見直しやすいのがここだよ。
法律としては以前からある仕組みだけれど、改正や省令の見直しで、マニフェストの未確認や虚偽記載などには比較的重い罰則が用意されている。

初心者がチェックしたいのは、次のようなポイントだ。

・未返送のマニフェストがないか、定期的に確認しているか
・委託契約書の「品目」「数量」「処理方法」が、実際の運用と一致しているか

「契約書の中で書いてある処理方法」と「実際に受託業者さんがやっている処理」がズレている、なんてケースもあるのですか?

実務では珍しくないね。
例えば、契約書では「再生利用」となっているのに、実態はほぼ焼却と埋立てだったり、逆に契約書上は「中間処理」だけなのに、実際には最終処分まで行っていたり。

こうしたズレは、今回の改正では直接は無いけれど、平成時代の中頃からの改正によって排出事業者側の責任が問われやすくなっている部分だよ。

なるほど…。
初心者としては、とりあえず
「マニフェストをきちんと集めてファイルしているから安心」と思いがちですが、
それだけでは足りないということですね。

そう。「書類がある」から一歩進んで、
「書類の中身と現場の運用がちゃんと合っているか」を見に行くのが、
改正時代のスタートラインだと思っておくといいね。

② ヤードと一時保管を「見える化」する

二つ目はヤードと一時保管場所でしたね。
ここも改正と関係しているのでしょうか。

これは今回の改正と直接関係しているよ。
最近は、使用済金属やプラスチックなどを扱うヤードでの火災や環境トラブルが問題になっていて、それを踏まえた法改正案や省令案が議論されている。
「使用済金属・プラスチック物品」など要適正保管物への対応が整理されているんだ。

この文言、今回の改正でも度々登場するんだけど
「要適正保管物・再資源化使用済金属・プラスチック物品」と、
とても長いので、BUNさんは「要適金プラ」という略称を提案しているんだ。

「要適金プラ」ですか。世間の人が使用してくれるかですが、
たしかに毎回「要適正保管物・再資源化使用済金属・プラスチック物品」とは言いづらいし書きにくいですね。

それはさておき、確かに、スクラップ置き場の火災とか、ニュースで見たことがあります。

ヤードに関する改正については今後詳しく取り上げていく予定なので、
今回はこの程度にしようか。

③ リサイクルと輸出を「環境リスク」で見る

三つ目の「リサイクルと輸出」のところが、まだイメージがつきにくいです。
「リサイクルしていれば環境にやさしい」という印象がありますが…。

そこがポイントなんだ。

資源循環を進めるために、再資源化事業を後押しする新しい法律も生まれているけれど、その一方で、有害物質を含むものなどを安易に海外に出さないよう、輸出に関する規制やチェックも強まっている。

つまり、「リサイクルだから良い」と単純に考えるのではなく、
「どこでどう処理されるか」まで見ないといけない、ということですね。

その通り。廃棄物処理法の改正の中でも、「再生利用に関する特例」や
「再資源化事業の高度化」に関するルールが整備されてきている。

排出事業者としては、次のような視点を持つといいよ。

・リサイクル委託先は、どんな工程で処理しているのか
・有害物質や危険物を含んでいないか、どう管理しているのか
・海外に出る可能性がある場合、そのルートは適正か

ここまで聞くと、改正廃棄物処理法は単なる「ごみのルール」ではなくて、
「資源循環のルール」にもなってきている感じがします。

まさにその通りだね。初心者のうちは、「捨てる話」だけでなく「資源に戻す話」も含めて廃棄物処理法を見ていくと、最近の改正の方向性が理解しやすくなるはずだよ。

4. 今回のまとめ

今日はかなり盛りだくさんでしたが、整理するとこういう感じでしょうか。

・廃棄物処理法は社会や環境意識の変化に合わせて、何度も改正されてきた
・中心にあるのは「排出事業者責任」で、出した後もずっと責任を持つ考え方
・初心者がまず押さえるのは(今回の改正ではないが)「マニフェスト・委託契約」、「ヤード・一時保管」、「リサイクルと輸出」

完璧なまとめだね。
改正の条文そのものを暗記する必要はないけれど、こうした「流れ」と「押さえどころ」を頭に入れておくと、新しい情報が出てきても自分事として理解しやすくなる。

次は、今回の改正の具体的な事項について知りたいです。

了解しました。どのようにお伝えするのがいいか、考えておきましょう。

次回もよろしくお願いします!