リヴァックスコラム
第49回 「再資源高度化法本格施行」について聞いてみよう その3
前々回から令和7年11月21日から全面施行された再資源高度化法、特に政省令に注目して取り上げています。
なお、法律そのものは令和6年5月に公布されていましたので、当リヴァックスコラムの第25回~31回で取り上げています。そちらも読んでいただけると嬉しいです。
前回はむつごさんからの質問を取り上げましたが、「目標設定」や「実績の報告」等、なんとなく再資源高度化法の全体像が見えてきたように思います。
じゃあ先生、続きをお願いします。
はい。「その1」では第5条の「一般廃棄物、産業廃棄物の中間処理を行う人」は再資源化に関する目標を設定する、というところまででしたね。
今回は、「処分業者判断基準省令」を遡って、まずは第2条を見ていただきましょうか。
いつものように一旦条文はジャンプして<着地点>から読んでいただいて、条文は後ほど確認してもいいですよ。
(再生部品又は再生資源に対する需要の把握及び供給に関する事項)
第二条 廃棄物処分業者は、処分を受託した廃棄物について、その再資源化の実施が可能であると判断した場合には、当該再資源化の実施に先立ち、当該再資源化により得られる再生部品又は再生資源の性状に関する標準的な規格を参照するものとする。
2 廃棄物処分業者は、前項に規定する場合において、物の製造、加工若しくは販売の事業を行う者の再生部品若しくは再生資源に対する需要又は再生部品若しくは再生資源の供給先の情報を収集するものとする。
3 廃棄物処分業者は、再資源化の実施に当たっては、その使用する廃棄物処理施設の処理能力から供給が可能な再生部品又は再生資源の量をあらかじめ把握するものとする。
<着地点>
この条文は、BUNさんが30年前から主張している内容が盛り込まれたので、
個人的にはとてもうれしいです。
それってどういうことですか?
リヴさんは、リサイクル事業が失敗してしまう要因として
どんなことが思いつきますか?
う~ん。いろんなことがあると思うけど、アフターサービスが悪い、営業マンの態度が悪い、品質が悪い、値段が高いといったことかなぁ。まぁ、これはリサイクル製品に限らないことだけどね。
BUN先生はどう思っているんですか?
もちろん、商売である限り、今、リヴさんが言ったことは全て該当すると思うけど、
私はなんと言っても「需要を考慮していない」事だと思っているんだ。
そりゃそうか。使ってくれる人がいなけりゃいくら作っても売れないよね。
そのとおり。普通に考えれば、誰でも思いつく要因。
ところが、不思議とリサイクル事業をやり始める人は、この要因を「二の次ぎ、三の次ぎ」に捉える人がいるんだねぇ。「リサイクルは地球に優しいことだから、作れば売れる」みたいに考えるんだろうか?
今でこそ、そういう認識の人も増えてきて、バージン製品より多少高くても、見栄えが多少悪くても購入してくれる人も出てきたけど。
まぁ、正直な気持ちとしては、
同じ性能だったら値段の安い方、見栄えが良い方を買いますね。
それでも、さすがに要らない物、使わない物は仕入れないわね。
そう、需要があってこその「製品」なんですよ。
この条項は、まさにそれを指摘しているんだ。
「再生部品又は再生資源の性状に関する標準的な規格を参照」
「需要又は再生部品若しくは再生資源の供給先の情報を収集」
「供給が可能な再生部品又は再生資源の量をあらかじめ把握」
ここですね。
たとえば、コンクリート殻を破砕して再生砕石にしたとしても、その再生砕石を使ってくれる土木建設工事があるのか?あるとして、どの位の量が求められるのか?
動植物性残渣を発酵するときに、リサイクル製品となる飼料や肥料にどんな品質が求められていて、それを使ってくれる農家はどこにあって、どの位購入してくれるのか?
こういうことを見通した上で、計画的なリサイクル事業を展開して下さいねってことだね。
なるほど。それを踏まえた上で、前回「その2」で取り上げた「目標」を設定して事業展開してくださいね、誰も買ってくれないような「リサイクル製品」を製造したところでしょうがないでしょ、ってことね。
じゃ、次に進みましょ。
次はいよいよ「認定制度」なんだけど、この話にいくと今までのこととごちゃ混ぜになりそうなんで、一旦整理をしておくよ。
実は、ここまでの話が概ね、
法律では「第三章 資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化、第一節 廃棄物処分業者による資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化の促進」という内容なんだ。
- 「廃棄物の中間処理をやる人物」を「廃棄物処分業者」としました。
- 「廃棄物処分業者」の中で、産業廃棄物を年間10,000トン(廃プラは1,500トン)以上処理する人を「特定産業廃棄物処分業者」としました。
- 「廃棄物処分業者」は「需要を見越した」再資源化を「目標」として設定し取組ます。
- 「特定産業廃棄物処分業者」は資源化の取組が疎かだと勧告、命令、罰則の対象になります。
その他にも「人材育成」等の規定もあるけど、
興味のある方は条文や環境省が提示しているリーフレット等を参照して下さいね。
さて、それではここからいよいよ、「認定制度」です。
「認定制度」って許可の特例で「認定を取ったら許可が要らない」って制度ですよね。
はい。ただ、この認定制度も再資源高度化法では、
「第二節 高度再資源化事業計画の認定」と
「第三節 高度分離・回収事業計画の認定」と
「第四節 再資源化工程高度化計画の認定」の3つの制度があります。
混乱しないように、「廃棄物処理法の許可不要」というBUNさん視点で、まずは3つの制度の概要を示しておきましょう。(「略称」はこのコラムだけの略称です)
- 高度再資源化事業計画の認定
一廃、産廃収集運搬業、処分業許可不要(略称、「資源化認定」) - 高度分離・回収事業計画の認定
一廃、産廃、処分業許可不要(略称、「分離回収認定」) - 再資源化工程高度化計画の認定
一廃、産廃処理施設設置許可の変更許可不要(略称、「工程高度化認定」)
これだけでも一旦頭の整理が必要ですね。
え~と、「資源化認定」は一廃、産廃ともに収集運搬、処分業とも許可不要・・・
ということは、特別管理産業廃棄物処理業の許可は対象外なのね。
そうだね。
おそらく、処理にリスクが高くなる特管物はまずは外したんだと推察されます。
必要なら何年か後に改正して追加するかも知れないけど、今のスタート時点では入っていないね。
「分離回収認定」も一廃、産廃ともに許可不要だけど、
これは「処分業」だけなんですね。
と、いうことは、収集運搬に関しては正規の許可を取りなさいってなる訳ね。
条文上はそのようだね。ただ、これも1.の「資源化認定」を併せて取得すれば収集運搬業の許可も不要になる、というような手法もあるのかもしれないね。
「工程高度化認定」は
「業」の許可不要ではなく、処理施設の設置許可の関係なんですね。
しかも、「新規」設置は対象外で、「変更」許可だけが不要になるって制度なの?
そのようだねぇ。まぁ、これについては、各論の時にでも取り上げましょうか。
それでは、「資源化認定」から説明して下さい。
法律で規定しているレベルは既に1年半前に取り上げているけど、
改めて法律条文を見てみよう。
法律 (高度再資源化事業計画の認定)
第十一条 需要に応じた資源循環のために実施する再資源化のための廃棄物の収集、運搬及び処分の事業(以下「高度再資源化事業」という。)を行おうとする者は、環境省令で定めるところにより、高度再資源化事業の実施に関する計画(以下「高度再資源化事業計画」という。)を作成し、環境大臣の認定を申請することができる。
改めて見てみると面白いね。
名称としては「高度再資源化事業」なんだけど、
具体的には「高度」なことは言って無くて「需要に応じた資源循環」が、
「高度な」再資源化なんですね。
それが「その2」や今回の前半でも見てきた「需要」の大切さだね。
さて、それで、この事業を認定してもらうためには「環境省令で定めるところ」とあり、ここで<本則省令>が登場することになる。ここで・・・
(高度再資源化事業計画に添付すべき書類)
第二条 法第十一条第一項の規定により高度再資源化事業計画の認定を申請しようとする者は、申請書に次に掲げる書類及び図面を添付しなければならない。
として、この添付書類が1号から11号まで規定している。
多くは通常の産廃の許可申請と同じようなことなので、
BUNさんが注目した「資源化認定」特有の条文だけ紹介していくよ。
五 法第十一条第二項第四号に規定する指標の算出の根拠を示す書類
この「法第十一条第二項第四号」というのが、これ ↓
四 再資源化の実施方法、再資源化により得られる再生部品又は再生資源の供給を受ける者、再資源化事業の実施の効率化の程度を示す指標その他高度再資源化事業の内容
リサイクル事業のアウトプットである「リサイクル製品」を買ってくれる、
受け入れてくれる人は誰かを、計画の申請書に記載しなくてはならないわけですね。
そう。すなわち、買い手が存在しない事業では、申請すら出来ない訳だ。
で、さらに・・・
(高度再資源化事業計画の記載事項)
第三条 法第十一条第二項第四号の高度再資源化事業の内容は、次の各号に掲げる内容を含むものとする。
として、この添付書類が1号から4号まで規定している。この1号がこれ ↓
一 当該申請に係る再資源化を実施する廃棄物の種類及び再資源化により得られる見込みの再生部品又は再生資源の数量
すごく具体的ですね。
どの位のリサイクル製品が生産されるかまで
申請書に記載する必要があるんですね。
そう、さらにこの本則省令第6条の規定も面白いよ。
一 高度再資源化事業を開始してから当該高度再資源化事業により得られる再生部品又は再生資源をその供給を受ける者へ引き渡すまでに要する期間
「リサイクルやってるんだ」と言っておきながら、
アウトプットのリサイクル製品がなかなか出荷出来ない、
なんてことは容認出来ないってことね。
さらにこんなことも規定している。
二 高度再資源化事業において一般廃棄物処理基準又は法第十三条第四項の政令で定める基準に適合しない処理が行われた場合において、生活環境に係る被害を防止するために講ずることとする措置
処理業許可では処理基準は適用になり、それを遵守するのが大前提で、それが守れなかったら・・・なんてことまでは具体的には規定していないのに、高度化法では「もし、基準に合わない時にはどうするんだ」ってことまで、申請書に書いておかなくちゃならないのね。
まぁ、廃棄物処理法の規定でも、処理業者が処理基準に合わなければ、改善命令の対象にはなるんだけど、全ての処理基準違反で改善命令をかけている訳じゃなく、「違反しないこと」を前提として制度が出来ていると言ってもいいかもしれない。
高度化法では、こういった廃棄物処理法の苦い経験を踏まえて、最初から「どうするんだ」ってことを申請書に記載させるってことにしたみたいだね。
さらに、次の規定もある。
三 当該申請に係る廃棄物の処分の用に供する施設が廃棄物処理施設である場合には、当該廃棄物処理施設に係る廃棄物の搬入及び搬出の時間及び方法に関する事項
許可の場合は「許可の条件」として、「搬入時間」の制限をしているケースもあるけど、高度化法では、申請の時点から記載させるようにしたんだね。
認定を審査する立場としては、
こういった申請の内容が本当に実施可能かなどを審査することになるんですね。
そうだね。申請する側と審査する側で表現は違うけれど、ほぼ同じようなことを規定している。法律では第11条第4項第2号。これを受けて省令第8条各号で規定しているんだ。
(高度再資源化事業の内容の基準)
第八条 法第十一条第四項第二号の環境省令で定める基準は、次のとおりとする。
一 再資源化により得られる再生部品又は再生資源が、利用されると見込まれる製品等に要求される標準的な規格及び市場の状況に照らして、法第十一条第二項第四号に規定する者に対して当該再生部品又は再生資源を安定的に供給することができると認められること。
なるほど。申請者は「こんな需要がありますよ」と申請して、
国は「本当に、安定的に供給出来るの?」を審査することになるんですね。
この審査の中に面白い規定があるよ。8号と10号を紹介しておこう。
八 地域の環境の保全のための取組及び地域の社会経済の持続的発展に資する取組を併せて行うものであると認められること。
十 再資源化により得られる再生部品又は再生資源を我が国の資源循環の促進に資する事業活動を行う者に供給するものであること。
8号はいわゆる「地域創生」、10号は「国内循環」だね。
これは高度化法の目的にもある理念だからね。
単に「リサイクル、資源循環すればいい」ってことじゃないのね。
もちろん、処理業許可に要求されるような「適正に処理が出来る処理施設」や「適確に事業展開が行える人材」など本則省令では、かなり詳細に規定されているけど、
BUNさんの感覚としては、許可業者に要求されている事柄とそれほど大きく違う事は無いように読み取りました。
ふぅ~、今回の「その3」も長くなったけど、そろそろまとめてくださいな。
再資源高度化法の求めていることの一つに「需要に応じた再資源化」があります。
言葉としては、「高度再資源化事業計画の認定」としていますが、技術的に「高度」なことを求めているようには見えません。BUNさんの感触としては、許可業者に要求されているレベルのように捉えました。
BUNさんが捉えた「高度再資源化事業計画の認定」制度
- 技術的には「普及している」レベルでよい
- アウトプットになる「再資源」の需要が大切
- 認定が取れれば、一廃・産廃ともに収集運搬、処分業の許可不要
現実的には、具体的な需要が申請時点から要求されることから、ある程度実績のある、すなわち、既に「処理業許可」を取得している人物がスケールアップすることを想定した制度のように感じました。
そういわれれば、そうかもしれません。
じゃ、次回は残りの認定制度の解説になるのかな。