リヴァックスコラム
第48回 「再資源高度化法本格施行」について聞いてみよう その2
前回から令和7年11月21日から全面施行された再資源高度化法、特に政省令に注目して取り上げています。
なお、法律そのものは令和6年5月に公布されていましたので、当リヴァックスコラムの第25回~31回で取り上げました。
そちらも読んでいただけると嬉しいです。
前回は「処分業者判断基準省令」の途中まででしたが、さっそく質問をいただきました。
愛読者のむつごさんからです。
先月のコラムを読んで質問です。さしあたって、気になるのは次の5つです。
Q1.排出事業者も特定産業廃棄物処分業者になる?
Q2.再資源化目標設定の仕方は?
Q3.再資源化率の算出方法は?
Q4.報告の仕方は?(いつ、誰に)
Q5.罰則は?(対象、内容)
法律が公布された1年半前の情報レベルでは、当社は特定産業廃棄物処分業者のため、再資源目標と率の報告が必要になる認識ですが、そうなのでしょうか?
排出事業者は、今回の改正は知らなくてもよいのでしょうか?
むつごさんは勉強家でだいぶ予習復習もなさっているようですが、
BUN先生、どうでしょうか?
はい、まだこれから取り上げる政省令に関係する部分もありますが、
とりあえずこれらの質問にお答えしていきましょう。
Q1.排出事業者も特定産業廃棄物処分業者になる?
これは勘違いしやすいですよね。
前回の「その1」で解説したとおり、排出事業者でも「自社処理」として自分で自分の廃棄物を中間処理している人は「廃棄物処分業者」となります。
しかし、「特定産業廃棄物処分業者」には排出事業者は含まれません。
再資源高度化法でこれらを定義した、第4条と第10条を再度確認してみましょう。
面倒な方は条文をジャンプして<着地点>から読んでもいいですよ。
(国の責務)
第四条 国は、地方公共団体、廃棄物処分業者(一般廃棄物処分業者(廃棄物処理法第七条第十二項に規定する一般廃棄物処分業者をいう。以下同じ。)及び産業廃棄物処分業者(廃棄物処理法第十四条第十二項に規定する産業廃棄物処分業者をいう。以下同じ。)並びに事業者であって自らその産業廃棄物(廃棄物処理法第二条第四項に規定する産業廃棄物をいう。以下同じ。)の処分を行うものをいい、埋立処分又は海洋投入処分(廃棄物処理法第十二条第五項に規定する海洋投入処分をいう。)を業として行う者を除く。以下同じ。)及び事業者に対し、次条から第七条までに規定するこれらの者の責務が十分に果たされるように必要な技術的援助を与えることに努めなければならない。
(勧告及び命令)
第十条 環境大臣は、産業廃棄物処分業者であって、その処分を行った産業廃棄物の数量が政令で定める要件に該当するもの(以下「特定産業廃棄物処分業者」という。)の再資源化の実施の状況が、第八条第一項に規定する判断の基準となるべき事項に照らして著しく不十分であると認めるときは、当該特定産業廃棄物処分業者に対し、その判断の根拠を示して、再資源化の実施に関し必要な措置をとるべき旨の勧告をすることができる。
<着地点>
第4条では、
「廃棄物処分業者」=一般廃棄物処分業者+産業廃棄物処分業者+排出事業者(自らその産業廃棄物の処分を行うもの)ですから、排出事業者が含まれるのは明白です。
しかし、第10条の「特定産業廃棄物処分業者」は「産業廃棄物処分業者であって」としています。
この「産業廃棄物処分業者」は、第4条で「産業廃棄物処分業者(廃棄物処理法第十四条第十二項に規定する産業廃棄物処分業者をいう。)」としていることから、排出事業者は含まない、許可業者だけとなります。
なお、「特定」というのは、これから紹介する政令の条文に登場するのですが、「年間処分実績量」で決まります。
普通の産業廃棄物は10,000トン以上、廃プラスチック類なら1,500トン以上の処理実績の時は「特定」となります。
Q2.再資源化目標設定の仕方は?
Q3.再資源化率の算出方法は?
これも前回の「その1」で解説したとおり、「国の「基本方針」で示される「再資源化に関する目標」を参考に設定する。」となります。
ただ、「国の基本方針」はあくまでも国の基本方針なので、個別具体的な「産業廃棄物の種類毎」「再資源化の手法毎」の「目標」や「率」までは分からないようだね。
私も一応「国の基本方針」を読んでみたけど、A4で26ページもあって苦労したわ。
で、どうだった?
「温暖化を止めましょう」「安全、安心に」みたいな抽象的な話とか、グローバルな、日本全体の話が中心で、まだまだ個別具体的な数値までは読み解けませんでした。
まぁ、たとえば日本全体としては、
バイオマスについては「バイオマス活用推進基本計画令和四年九月六日閣議決定の目標二〇三〇年までに、バイオマスの年間産出量の約八十%を利用することを目標とする」といった記載が、
プラスチックについては「プラスチック資源循環戦略のマイルストン二〇三〇年までにワンウェイのプラスチック容器包装等を累積で二十五%排出抑制するよう目指す。
また、二〇三〇年までに、プラスチックの再生利用再生素材の利用の倍増を目指す」などの記載がある。
だから、こういった国の方針に沿った「目標」「率」なら、とりあえずOKといったところじゃないかなぁ。
Q4.報告の仕方は?(いつ、誰に)
これは法律に次の規定がある。
例によって<着地点>まで飛ばしていただいてもいいですよ。
(再資源化の実施の状況の報告)
第三十八条 特定産業廃棄物処分業者は、毎年度、環境省令で定めるところにより、産業廃棄物の種類及び処分の方法の区分ごとに、その処分を行った産業廃棄物の数量及びその再資源化を実施した産業廃棄物の数量その他環境省令で定める事項を環境大臣に報告しなければならない。
2 産業廃棄物処分業者(特定産業廃棄物処分業者を除く。)は、環境省令で定めるところにより、産業廃棄物の種類及び処分の方法の区分ごとに、その処分を行った産業廃棄物の数量及びその再資源化を実施した産業廃棄物の数量その他環境省令で定める事項を環境大臣に報告することができる。
第五十三条 次の各号のいずれかに該当する者は、二十万円以下の過料に処する。
三 第三十八条第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
そして、「本則省令」に次の規定がある。
(再資源化の実施の状況の報告の方法等)
第六十七条 法第三十八条第一項及び第二項の規定による報告は、毎年六月三十日までに、前年度における当該各項及び次条に規定する事項を、環境大臣が指定する電子計算機に備えられたファイルから入手可能な様式に報告をしようとする者の使用に係る電子計算機から入力する方法その他適切な方法により行うものとする。ただし、災害その他やむを得ない事由により当該期限までに提出して行うことが困難であるときは、環境大臣が当該事由を勘案して定める期限までに提出して行わなければならない。
(報告事項)
第六十八条 法第三十八条第一項及び第二項の環境省令で定める事項は、次のとおりとする。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
二 その他再資源化の実施の状況に関する事項
<着地点>
と言うことで、「再資源化の実施の状況の報告」、いわゆる「実績報告」については、「特定産業廃棄物処分業者」は「義務」なので、これをやらないと「二十万円以下の過料」。
「特定」に該当していない「産業廃棄物処分業者」は、「実績報告」は義務ではないので、したがって罰則は無し。
どのように報告するかは、ネットで前年度分を6月末までに、ってことだね。
なお、これはあくまで「実績報告」の話。
目標の設定については、「処分業者判断基準省令」に次の規定がある。
(その他再資源化事業等の高度化及び再資源化の実施の促進に関し必要な事項)
第六条
3 廃棄物処分業者は、前条第一項の目標の達成状況及び自らの再資源化の実施の状況を公表するものとする。
自分で設定して、自分で公表するってやり方ですか。
この目標自体いい加減だったり、削減、資源化をしてなかったら?
その時は次の規定だね。これも一旦ジャンプしてもいいですよ。
(勧告及び命令)
第十条 環境大臣は、産業廃棄物処分業者であって、その処分を行った産業廃棄物の数量が政令で定める要件に該当するもの(以下「特定産業廃棄物処分業者」という。)の再資源化の実施の状況が、第八条第一項に規定する判断の基準となるべき事項に照らして著しく不十分であると認めるときは、当該特定産業廃棄物処分業者に対し、その判断の根拠を示して、再資源化の実施に関し必要な措置をとるべき旨の勧告をすることができる。
2 環境大臣は、前項に規定する勧告を受けた特定産業廃棄物処分業者が、正当な理由がなくてその勧告に従わなかった場合において、再資源化の実施の促進を著しく阻害すると認めるときは、中央環境審議会の意見を聴いて、当該特定産業廃棄物処分業者に対し、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる。
第四十九条 第十条第二項の規定による命令に違反したときは、当該違反行為をした者は、五十万円以下の罰金に処する。
<着地点>
環境大臣が勧告や命令をするんですね。
そうだね。ただ、この勧告、命令、そして命令違反の罰則も適用になるのは「特定」だけで、これに該当しない「廃棄物処分業者」は勧告、命令、罰則の対象にはしていないんだ。
Q5.罰則は?(対象、内容)
むつごさんの「Q5.罰則は?(対象、内容)」の答えが出てきましたね。
特定産業廃棄物処分業者に関しては、実績報告をしない場合は「二十万円以下の過料」。
特定産業廃棄物処分業者が資源化等の取組が悪いときは勧告、命令の対象になり、命令違反の時は「五十万円以下の罰金」ですね。
一方、「特定」に該当しない単なる「廃棄物処分業者」は、勧告、命令、罰則の対象にはならないってことですね。
もっとも「特定」でなくとも、目標やその取組、実績等を「公表」していくことにはなるので、あまりに取組が疎かだと世間から白い目で見られかねないね。
今回はむつごさんからの追加質問に答える形で、政省令の紹介はあまり進まなかったけど、長くなったので一旦切ってまとめていただけますか。
飛び石にはなったけど、重要な条文を紹介できてよかったと思いますよ。
じゃ、補足しながらまとめてみましょう。
- 「廃棄物処分業者」とは「一般廃棄物、産業廃棄物の中間処理を行う人」です。排出事業者の「自ら処理」も含みます。
- 「特定産業廃棄物処分業者」とは、前年度の処分実績が10,000トン以上、廃プラスチック類は1,500トン以上である「産業廃棄物処分業者」です。これは政令第1条の定義なので詳細はコラム「その3」以降に登場します。
- 廃棄物処分業者は、「再資源化に関する目標を設定」し、その達成状況などをインターネット等で公表します。
- 年間処分実績量の報告については、「特定産業廃棄物処分業者」は「義務」で、違反すると「二十万円以下の過料」の罰則が規定されています。
- 「特定」ではない「産業廃棄物処分業者」の年間処分実績量の報告は、「義務」ではないので罰則は規定されていません。
- 「特定産業廃棄物処分業者」は、資源化の取組が不十分なときは勧告、命令の対象になり、命令違反の時は「五十万円以下の罰金」の罰則が規定されています。
- 「特定」ではない「産業廃棄物処分業者」の資源化の取組については、勧告、命令、罰則の規定はありません。
- 再資源化目標設定については、「国の「基本方針」で示される「再資源化に関する目標」を参考に設定する。」となります。
ただ、「国の基本方針」はあくまでも、国の基本方針なので、個別具体的な「産業廃棄物の種類毎」「再資源化の手法毎」の「目標」や「率」までは、分からないようです。
(今後、ガイドラインやマニュアル、手引き等が出されるかも知れませんが、現時点では読み解けませんでした。)
なんとなく、再資源高度化法の全体像が見えてきた気もしてきました。
次回は政省令を読み進めていきたいと思います。