リヴァックスコラム

第56回 改正廃棄物処理法逐条で確認 その2

長岡 文明氏

前回は、第一条の目的で「要適金プラ」がいきなり登場して、第二条第7項〜第9項で新しい定義が三つ増えたところまで見ました。
大きな円の中に「保管リスク」と「再生リスク」の二つの円が入っているイメージ、あれはだいぶ頭に残りました。

それを受けて、今回はいよいよ「第二十四条の七」に入っていく回ですね。
第1項から第6項までを、一気にお願いしたいです。

はい。では、まず第二十四条の七全体の位置づけを一言でおさらいしよう。

ここは新設された「第四章の二 要適正保管使用済金属・プラスチック物品及び要適正再生使用済金属・プラスチック物品」の最初の条文で、要適正保管使用済金属・プラスチック物品、つまり「要適金プラ」の保管を「業としてやる人」に許可制をかける入口です。
対象物は第二条第八項で定義された「要適正保管使用済金属・プラスチック物品」で、そこに「業として」「譲渡のために保管する」という条件が重なってきます。

その上で、第1項から順番に見ていこう。

第1項:どの保管に許可が必要か

まずは第1項の条文を確認してみよう。

第二十四条の七 要適正保管使用済金属・プラスチック物品の保管(譲渡のためのものに限る。)を業として行おうとする者は、環境省令で定めるところにより、その事業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事等の許可を受けなければならない。

すごくオーソドックスな書き方ですが、ここに実務上のキーワードが詰まっています。
「要適正保管使用済金属・プラスチック物品」というのは、前回見たとおり第二条第八項の定義。
つまり、「使用済金属・プラスチック物品」のうち、適正でない保管が行われると、人や生活環境に被害を生じるおそれがあるため、廃棄物と同じレベルの保管が必要なもののことだったね。

その保管のうち、「譲渡のためのものに限る」と条文で念押しされている。
ここで対象にしているのは、あくまで「売るための在庫としての保管」であって、自社で発生して、自社工程でそのまま再利用する鉄くずを少し置いておく、といったケースは、形式的にはこの条文には当てはまらない。
ただし、名目が「自家利用」でも、実態が売却前提であれば、そこは運用上の判断の問題になります。

もう一つのキーワードが、「業として行おうとする者」です。

これは、従来から一般廃棄物処理業や産業廃棄物処理業で使われてきた表現と同じです。
他の分野にも言えることですが、通常「業」とは反復継続、営利目的、不特定多数と言われています。
つまり、「たまたま1回だけ友人のスクラップを置かせた」というレベルではなく、スクラップヤードとして常時受け入れと保管を行い、収入を得るような形態が典型です。

最後に、「その事業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事等の許可」とある。

ここも、産業廃棄物処理業などと同じ構造だね。保管ヤードの所在地を管轄する都道府県知事、あるいは廃棄物処理法の政令市の長が許可権者になります。
複数の都道府県にまたがってヤードを持つ場合は、それぞれの区域ごとに許可が必要になる構造です。

まとめると、「第二条第八項の要適正保管使用済金属・プラスチック物品を、譲渡のために、継続的に、商売として保管する人は、ヤードのある都道府県ごとに許可を取りなさい」というのが第一項の趣旨、という感じですね。
一廃・産廃の許可条文になじみがある人には、かなり見覚えのある書き方に見えると思いました。

第2項:許可の有効期間と更新

次に第2項です。ここでは、許可の有効期間と、更新の考え方が定められています。
条文を見てみよう。

2 前項の許可の有効期間は、五年を超えない範囲内において政令で定める期間とし、その更新を受けることができる。

構造としては、産業廃棄物処理業の許可とほぼ同じ。
有効期間の上限を「5年を超えない範囲内」とした上で、具体的な年数は政令に委ねています。

現行の産廃処理業の許可も、実務上は「5年ごとの更新(優良認定業者は7年)」になっているから、要適金プラ保管業の許可についても同じく5年更新が基本になると見込まれているよ。

ここのポイントは、「更新を受けることができる」と明記しているところだね。
これは、一定期間ごとに「そのヤードがきちんと基準に適合した状態を保っているか」「欠格事由に該当していないか」などを再確認するための仕組みです。

一度許可を取ったら永久に安泰、という制度ではなく、「5年ごとに健康診断を受けてください」というイメージを持ってもらうと分かりやすいと思うよ。

産廃の許可を持っている業者さんにとっては、「もう一枚、似たような許可証が増える」感じですね。
許可の入れ替えのスケジュール管理が、ますます大事になりそうです。

いや、それは違います。
後の条文で紹介しますが、正規の産廃処理業の許可を持っている業者は要適金プラの許可は必要ないんです。

そうなんですか!では、その件は後ほど。

第3項:許可基準の総論

第3項では、「どんな人に許可を出せるのか」という許可基準の総論部分が定められています。
条文を確認しよう。

3 都道府県知事等は、第一項の許可の申請が次の各号に適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。
一 申請に係る事業計画が、要適正保管使用済金属・プラスチック物品の保管を適正に行うため適切なものであること。
二 申請に係る保管施設の構造又は設備が、政令で定める基準に適合するものであること。
三 申請に係る事業を的確かつ継続して行うに足りる経理的基礎及び技術的能力を有するものであること。
四 申請者が環境省令で定める欠格事由に該当しないこと。

ここも、産業廃棄物処理業の許可基準とかなり似た並びになっていますね。
順番に見ていこう。

まず、一号は「事業計画の適切性」。
要適金プラの保管を、どの場所で、どのくらいの量を、どのような管理体制で行うのか。その全体像が無理のない計画になっているかどうかがチェックされます。

二号は「施設の構造・設備」。
ここで「政令で定める基準」が登場します。ヤードの地盤や囲い、排水設備、火災対策、保管高さの上限など、具体的な構造基準が別途設定されることになります。

三号は「経理的基礎及び技術的能力」。
これは、赤字続きで継続性が危うい事業者や、保管管理のノウハウや人員が明らかに不足している事業者が参入しないようにするためのフィルターです。
資本金や自己資本比率、過去数年の決算状況、責任者や現場管理者の経験などがチェック対象になってきます。

四号は「欠格事由」。
暴力団関係者など、環境省令で定める一定の属性を持つ者には許可を出せない、というおなじみの規定です。ここも、一廃・産廃の処理業と似た構造になります。

つまり、「どんな物を対象にするか」は第二条で決めて、「どんな人に保管を任せるか」は、この第3項で大枠を決めているわけですね。
ヤードの場所とハードだけでなく、事業計画やお金、組織の中身まで見られることになるので、既存ヤードの「名義だけの持ち主」とか「実質的なオーナー」の関係も、結構シビアに問われそうな気がします。

そのとおり。許可の世界では、「誰が名義人か」と「誰が実質的に支配しているか」の両方が常に問題になる。
欠格事由のところで、役員や実質的支配者に反社会的勢力がいないかなども含めて、環境省令レベルで細かく定められていくはずです。

第4項:事前の構造・設備確認

第4項は、保管施設の構造や設備を、事前にチェックする仕組みについて定めています。
条文を見てみよう。

4 都道府県知事等は、第一項の許可の申請に係る保管施設の設置又は変更が政令で定めるものに該当するときは、環境省令で定めるところにより、その構造又は設備が前項第二号の政令で定める基準に適合するものであることについてあらかじめ確認しなければならない。

ここで言っているのは、いわゆる「許可基準」のこと。
新規許可の時はもちろん、政令で定める一定規模以上の変更の時も基準が適用になります。

既存ヤードが要適金プラ保管業の許可を取ろうとする場合にも、「今のままの構造ではダメなので、囲いを設けてください」「舗装を打ち替えてください」といった改修を求められる場面が出てくるはず。

つまり、「とりあえず許可だけ取っておいて、施設はあとでゆっくり」というわけにはいかない、ということですよね。
構造や設備が基準に合っていることが、許可の前提になると。

そのとおり。産廃処理施設の許可と同じように、「図面と仕様書で審査→現地確認→是正指示→適合確認→許可」という流れが要適金プラ保管ヤードにも適用されると考えるといいと思うよ。

第5項:保管基準を守る義務

第5項では、許可を受けた後の「守るべきルール」のうち、保管基準に関する部分が出てきます。これが条文です。

5 前項の許可を受けた者は、環境省令で定めるところにより、要適正保管使用済金属・プラスチック物品の保管を行う場合における当該要適正保管使用済金属・プラスチック物品の保管の方法に関し、政令で定める基準に従わなければならない。

ここで出てくる「政令で定める基準」が、いわゆる「保管基準」です。

どのような高さまで積み上げてよいか。屋外保管の場合、どんな囲いや飛散防止措置が必要か。雨水や漏えい液をどう処理するか。火災対策としてどのような通路幅や消火設備が必要か。こういった事項が政省令令で細かく規定されることになります。

当然、この第5項は「許可の要件」ではなく、「許可を受けた後も継続して守らなければならない義務」。
許可時には基準に適合していても、数年たつうちに保管量が増えすぎて基準を超えてしまったり、囲いが壊れたまま放置されていたりすれば規定違反となり、改善命令や場合によっては許可取消しの対象になり得ます。

現場感覚で言うと、「保管基準違反」は、住民からの苦情と直結しやすいところですよね。
粉じん、騒音、景観、火災…。第一条で出てきた「生活環境を清潔にすること」が、かなりここに降りてくる感じがします。

保管基準の中身は、まさに「生活環境を清潔に保つための具体的なルール」。
だから、要適金プラ保管業の許可を取る事業者は「許可証をもらうこと」がゴールではなく、「保管基準を守り続けること」を前提に、ヤードの設計や運営体制を考えておく必要があります。

第6項:保管量の上限とその他のルール

最後に、第6項です。ここでは、保管量やその他のルールについての委任規定が置かれている。
条文を見てみよう。

6 前項の政令で定める基準には、要適正保管使用済金属・プラスチック物品の保管のための施設における当該要適正保管使用済金属・プラスチック物品の保管量の上限その他必要な事項を定めるものを含むものとすることができる。

ここで明示されているのが、「保管量の上限」。
要適金プラヤードについては、「とにかく積めるだけ積む」という運用を許さず、「この面積、この構造なら、保管できる量はここまで」という上限を法的に設定できるようにしています。
これにより、崩落リスクや火災時の延焼リスクなどを一定限度に抑えることが期待されている。

また、条文の後半にある「その他必要な事項」には、例えば「混在保管の制限」や「特定の危険物を含む場合の追加措置」などが盛り込まれる可能性がある。
詳細は政令を待つことになりますが、「量の上限も含めて、かなり細かい運用ルールが定められる」という前提で、ヤードの計画を立てる必要があるでしょう。

今までは、ヤードによっては「とりあえず空いているところまでどんどん積む」という運用が普通に行われていましたけど、それはもうできなくなりますね。
「このヤードは、月間の最大保管量はここまで」「それ以上は受け入れない」という、事業計画の組み直しが必要になりそうです。

そうなっていく可能性は高いと思うよ。
保管量の上限は、「安全と環境」を守るためのブレーキであると同時に、事業の採算性にも直結する。
許可申請の段階で、「どの程度の量を、どのような回転で扱うか」という事業計画をかなり具体的に詰めておくことが求められます。

まとめ

ここまで、第1項から第6項までを一気に見てきました。
改めて、全体像はどうなりますか?

流れとしては、こうです。

まず第1項で、「要適正保管使用済金属・プラスチック物品の譲渡のための保管を業として行うなら、ヤードの許可を取りなさい」と定めています。

次に第2項で、「その許可は最長5年で、更新制」としています。

第3項で、「どんな人に許可を出せるのか」を事業計画、施設構造、経理・技術、欠格事由という要因で整理しています。

第4項で、保管施設については、「許可の前に構造・設備が基準に合っているかどうかを確認すること」を義務づけています。

そして第5項と第6項で、「許可を取った後に守るべきルール」として、保管基準と保管量の上限などを政令で定めることを予定しています。

つまり、「誰が」「どこで」「どんな施設で」「どのくらいの量を」「どんなルールで」要適金プラを保管できるのか。
その全部を、第二十四条の七第1項〜第6項で骨格だけ決めておいて、細部は政令・省令で肉付けする形ですね。

そうだね。あとは、第7項以降で帳簿義務や報告義務など、さらに細かい運用ルールが出てくるけど、それは次回に回しましょう。

では、今回はこのあたりで区切って、次回は第二十四条の七第7項から、帳簿・報告あたりをじっくりお願いします。

承知しました!次回も同じ調子で、逐条で追いかけていきましょう。