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「大栄サービス 廃棄飲料リサイクル 運搬、処理まで業務提供」 <物流ニッポン>
【水野正博】総合リサイクル事業を手掛ける大栄サービス(赤澤健一社長、兵庫県西宮市)では、賞味期限切れとなった清涼飲料水などの運搬から保管、リサイクル処理までを一貫して行う事業に力を入れている。
清涼飲料水や缶コーヒーは、賞味期限が切れると大量に廃棄されることが多い。しかし、廃棄処理施設内に保管スペースの確保が難しく、廃棄物の一括回収は困難だった。このため、飲料メーカーや物流事業者にとっては商品流通の妨げになっていた。
こうした問題を解決しようと、廃棄される飲料の運搬から保管、リサイクル処理までの業務をトータルで提供し、飲料業界の返品過程の効率化を図るサービスを考えた。
事業展開の拠点となるのが、ことし三月、西宮市内に新設した廃棄飲料専用の管理、保管、リサイクル処理施設「リバース・マネジメントセンター(RMC)」だ。RMCは敷地面積三千五百平方メートル、保管面積百九十五平方メートルで、二リットルペットボトル三十万本、缶コーヒー三百万本が保管できる。
RMCに集めた廃棄飲料は梱包資材の段ボールと選別した後、破砕処理装置で中身の液体と容器類(缶、瓶、ペットボトルなど)に分離する。液体は乾燥装置を使い、バイオソリッド燃料と呼ばれる固形状の燃料に加工され、工場のボイラー用燃料として利用される。また、破砕した容器類も品目ごとにリサイクルする。
環境に配慮して脱臭装置を導入したほか、飲料メーカーの社名やブランド名が入った商品を施設外へ流出させないよう、二四時間体制のセキュリティ対策も整えた。
RMCの稼働以降、取扱量は順調に推移し、三月から八月までの累計が千二百トン。二リットルペットボトルで六十万トン、缶コーヒーでは六百三十万トンに相当する。
飲料メーカーや物流企業にとっては、在庫スペースの圧縮、倉庫の回転率向上といったメリットがあり、同社では今後、事業規模の拡大を目指す方針で、「飲料だけでなく、廃棄処分される食品のリサイクルも検討していきたい」としている。