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産廃処理場見学で環境教育 <週刊東洋経済3月17日号>

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「自分たちが出したゴミはどうなっていくの」。そんな子どもの疑問に、施設見学や出前授業で答えているのが、兵庫県西宮市にある産業廃棄物処理会社、リヴァックス。従業員わずか34人の中堅企業だが、大企業並みの環境学習を地域社会貢献の一環として10年以上にわたって行っている。

一般に、工場見学で子どもたちが喜ぶのは自動車や電気機械だろう。「それに対して、産廃施設の見学は未来の消費者へのメッセージとして行っている」と同社の赤澤健一社長は語る。すると、「スーパーでは、賞味期限が新しいものより古いものを買うほうがゴミを減らすことにつながるんだね」と想像力を働かせる生徒も多くなるという。

同社の取り組みは小規模ながら多岐にわたる。その1つに「遺品整理」がある。17年前の阪神・淡路大震災の被災者が住む災害復興公営住宅では、住民の高齢化に伴い、「孤独死」が増えている。亡くなった人が残した遺品を整理、ゴミや不要なものを処分するのが仕事だ。

同業者には反対されたが、これを「”ソーシャルビジネス”と位置づけ、専門性を身に付けたうえで実績をつくっていくことが会社の信頼感にもつながる」(赤澤社長)と2010年には専門部署を設けた。東日本大震災後に創設された民間資格「遺品整理士」も、さっそく社員が認定を受けた。これらの活動や環境報告書作成に対し、同社は中堅企業としては珍しく環境関連の表彰を数多く受けている。

「産廃事業は社会的基盤」と力説する赤澤社長。そして、向かい合うのは廃棄物だけではなく、人と人とのつながりこそが循環型社会の構築に不可欠であることを未来の消費者は学んでくれるだろう。

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